2016年7月1日金曜日

東京ヤドカリ日記6.27〜6.29

2016年6月28in→29out

                 宿泊地/文京区後楽園/カルハウス


今回は6月27~29日、2泊3日のショートスティ。
用件は連載の取材2件、決算報告書ができたので税理士と会うこと、
打ち合わせが2件。それだけではもったいないので下関マグロと会ったり、
友人とお茶する予定を追加してパンパンである。あとは原稿の締め切りが1本。
ヤドカリすると夜は原稿が書けない。それはわかっているし、朝型にして夜は働かないように工夫すればよく、むしろ歓迎なんだけど、そうもいってられないので初日の
晩は宿の手配をせず事務所にこもった。
が、たいして原稿書けないのである。集中力が思い切り低下している。
途中で考えを変え、締め切りを待ってもらうことにして普段できない雑務をやるように切り替えた。
明け方、どうしようもなく眠気に襲われ、読書用の椅子で1時間半寝る。
本当は寝泊まり禁止なんだけど、ほぼ徹夜ということで許してもらおう。
朝6時にカルロス矢吹から連絡がきた。もう起きたからいつでもきてくれという。
朝にチェックインとは珍しいと思いつつ、雨が収まるのを待って後楽園まで地下鉄で行く。
カルハウス(勝手に命名)は3LDKのマンションで、矢吹君はここをルームシェアして
知人2名と共同で使っている。そのことは知っていたし、いつでもきてくれと言われていたが、
いまどきのスタイルになんとなく気が引けて、しかし、その一方でルームシェアってどんな感じなんだろうと素朴な好奇心もあり、今日が初訪問となったのだ。
マンションの205号室。入ると廊下があり、入り口の正面と右側に部屋がある。
リビングルームは奥で、そこに置かれたソファベッドがぼくの寝場所になるらしい。
寝袋持参できたが、どうやら必要なかったようだ。
いまは朝なので、若い女の子と彼氏だというタイ人の男性が仲良く朝食を食べていた。
バンコクですかと尋ねると「そうだけど住んでるのはドイツ」とのこと。
食事中なのでそれ以上話しかけるのはやめて、矢吹君の部屋を覗きに行く。


ベッドとTVその他、荷物の少ない部屋で大リーグの野球中継を見ているところだった。マンションの借主は矢吹君だから、滞在中こまめに洗い物とかしていた。シャワーの使い方などを教えてもらう。トイレには、座りションでお願いしますと英語の貼り紙。
矢吹君は、「しょっちゅう人が泊まりに来て慣れているから遠慮しないで使ってください」と何度も行ってくれる。知り合いのライター、吉野歩さんは、リビングルームに1か月半滞在したことがあるそうだ。最後はダンナもきて夫婦で過ごしていったらしい。
矢吹君にはそういう寛容なところがあって、
素晴らしいとは思うものの、自分にはとてもできないことだなとも思う。
矢吹君とは『季刊レポ』の創刊当初に知り合った。何か書きたいとやってきたのだ。
そのときは学生を終えたばかりの24歳だったと記憶している。
いまは30代になったそうだから、6、7年のつきあいになるのか。
たぶん矢吹君の親はぼくと同世代か年下なんだろう。最近は親子ほど年齢差がある知人友人が増えてきて、相手はどうだか知らないけど、ぼくはとてもおもしろい。以前はそういう人間関係がうまく想像できなかったけど、よく言われるように、年の差ってあまり関係ないんだと実感する。
まあ、そんなことで朝っぱらから矢吹君と話し込んだのだった。
やってみたい企画があるらしく、主にそのことについて。何か先輩らしきアドバイスができたらと思うが、そんなことは無理であって、それはおもしろそうなテーマだからやったほうがいいよ、やるとしたらどこかなーあそこかなーとか、無責任な話に終始。
矢吹君はコーヒーを飲まないが、このところトルココーヒーにはまっているらしく、ぼくにもいれてくれた。甘い珈琲と乾燥イチジク。さらに甘い。


鍵を受け取って11時ごろから外出し、戻ってきたのは夜の11時。
シンとしていて、矢吹君の部屋から光が漏れていた。
シャワーを浴びて寝巻に着替えたらもう眠い。
翌朝は6時に目が覚めた。顔を洗って歯を磨き、持参のコーヒーを飲んでいると
矢吹君が部屋から出てきた。5時から起きていたそうだ。
タイの人はもういないようで、昨日の女の子がお湯を沸かしに来た。聞けば大学院生とのこと。
またトルココーヒーをふるまわれ、ときどきベランダに身を乗り出してタバコを吸う。
と、話の流れで矢吹君が「来年結婚するんで」と言うではないか。
「あれ、伝えてませんでしたっけ?」
初耳。そうかそうか、めでたいじゃないか。
ぼくはこう見えてめでたい話が好きなんだ。
8時半に辞し、神楽坂の事務所に戻った。
銀行と郵便局へ行き、泣きながら(嘘)消費税など支払う。
空はどんよりしているが、夕方までは天気が持つだろう。
荷造りをして、えーと、どこ行くんだっけとスマホを開く。
ヤドカリを始めてから、スケジュール管理はもっぱらスマホで行うように変わった。
Lifebearというアプリを使っている。
本日は四ツ谷、武蔵小金井の順だ。
後者は町中華探検隊でやっている『散歩の達人』取材なのだが、
連載1年になったのでプロフィール写真を撮り直すことになっている。
だが、ぼんやりしていて長そでの衣類を持ち合わせていない。
Lineで「どっかで買っていく」と伝えたところ、
「女物でよければ貸します」(増山かおり)
「小柄だけど着れると思うので持っていきます」(半澤則吉)
「ボクのでよければ持っていくよ」(下関マグロ)
みんな親切でありがたい。
ということで、次号から半澤君の服を着たワタクシが載るのである。
新宿発17時のあずさで松本に帰還。
駅を出て温度計を見たら22度となっていたが
東京から来た身には寒いくらいだった。